床について目をつむるとすぐ夢を見る。悪夢から覚めて時計をみると布団に入ってから5分か10分しか立っていないから「すぐ夢をみている」のだと分かる。そして再び目をつむると、また、同じ悪夢の続きをみる。すぐ目が覚める。その繰り返し。きっと、ガラクタの散らかったカビ臭い部屋で寝ているからこんなに寝苦しいんだとも思う。でも部屋がちっとも片付かない。片付ける気力もないからしかたない。
悪夢をみるのも面倒くさいから、いっそ起きて深夜に料理をする。牛蒡とニンジンと里芋で煮物を作り始めると、だんだん頭がハッキリしてきて眠くなくなってしまう。料理をすると気持ちが整理されてくるのはきっと、ひとつひとつ手順を確認しながら調理を進めて行くからなんじゃないかな、と思う。煮物ができると朝になった。外が明るくなったのでジョギングに行く。走りながらあれこれ考えていると良い考えが浮かんでくる。走りながら考え事をすると何となく、いままで考えもしなかった答えみたいなものがぽっと浮かんでくるのは、きっと、悪い考えが汗と一緒に流れ出てしまうからじゃないかな、と思う。
朝食にお粥と梅干しとぬか漬け(最近、ぬか漬けを自分で作るのが僕のなかで流行ってるのです)を食べて、ようやく睡魔が僕をお迎えにやってくる。そのときは潔く、布団の中にもぐり込んで悪夢を受け入れる。暗い、清らかな澄んだ水の中にゆっくり沈んでゆくと、真っ黒な墨の溜まった水底に辿り着いて眠りの世界に入り込む。
昼にオババ様の「腹が減った!昼飯を作れ!」という喚き声に起こされて、水と墨がぐちゃぐちゃに混ざり混んで夢だか現実だか分からなくなって覚醒する。仕方なくオババ様の昼食をつくる。目玉焼きにキャベツを添えて。細かく刻んだキャベツの芯とトウモロコシ、それと薄く輪切りにしたカロリーゼロのウィンナーソーセージでスープを作る。高血圧だから塩を使いたくない。けれどもスープなんてモノは塩加減がキモだから塩抜きでは他人にあったような気の抜けた味になってしまう。ほんのキモチだけひとつまみの塩を加える。コレでだいぶ違うはずだ‥…料理をしているうちに頭の中が整理されてくる。
今日は14日…そうだ、今日は仕事があったんだった。
忘れてた。スケジュール帳に書き込み忘れていてそのままだったから、今まで完全に失念していた。じたばたしてもしかたない。もう昼すぎだからどうすることもできない。溜息をついて、ジョギングをしながら言い訳でも考えるさ。きっと、良い考えが浮かんでくるはずだから。
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