この僕の長くも短くもない人生で得た教訓は
「人よりも酒を呑めても自慢にならない」
というものだった。
そのことに気がつくまでにだいぶ沢山の酒が僕の胃袋で消費されていった。いつも最後は酔っぱらって大抵はヒドい有様になってヒドい結果になって次の日の朝はこの言葉と、軽い後悔と、苦い胃酸の味を噛み締めることになるわけだ。そして、今朝も例に漏れず二日酔いの朝を迎えた。酒の事を好きで好きで好きで大好きでこれが無きゃこの世で生きている意味なんて無いなんて言いだすようじゃ、まだまだ片思いってもんです。いつも俺を苦しめる酒が憎くて憎くて全て飲み干してやらなきゃ気がすまないほど憎くて、それでも愛さずにいられないくらいに憎めない関係になると、これはもうすでに普通の恋愛じゃ満足できないただならぬ関係になってる。それをアルコール依存症っていいます。
人は(大抵の人が)檻の中でなければ生きて行く事は困難な生物であると僕はいつも思う。友人、恋人、家族、家、地位、金、仕事…まあそういったなんやかや。自分で作った檻、人の作った檻、手枷足枷に捕われていなくては不安でしかたないんだ。人間というのは依存しやすい、依存しなくてはいられない、そんな生き物なのだわ。誰だって、誰かに依存して生きてる何らかの依存症なのだ。アルコール依存症なんていうと依存症というものが特殊な病気みたいに感じるけれど、そんなもん人から見れば自慢にもならないただのお酒好きで大酒飲みってだけの事だよ。そういっていただいた方が愛嬌があって良い。
命は消しゴムみたいな物で無茶苦茶に力を入れて使うと早く減る。
僕は酒で死ぬんじゃない。
酒に生きたんだ。
酒に生き、夢に死んだんだ。
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